更新日2018.09.03 カテゴリー オーナー様向けコラム
耐震ドアにするとマンションの耐震性がアップするというイメージを持たれる方も多いのですが、耐震ドアはそういったものではありません。耐震ドアは、閉じ込めを防ぐためのドアで、建物自体の耐震性には寄与しません。
耐震ドアとは、閉じ込めを防ぐためのドア
建物が持ちこたえ、とりあえず怪我はしなかったとしても、大地震の後には様々な問題が起こる可能性があります。その一つが、閉じ込めです。
地震後、建物には目立って壊れた部分がないように見えても、実は大きな歪みが出ている場合があります。
建物が歪むと、ドア枠にかかる力は相当なもの。ドア枠が歪むとドアは開きません。
そんな時、もし火災が起こったら……考えるだけでも恐ろしいですね。
小さなお子さんや高齢者のいるお宅では、外からの救助を待っていられません。一刻も早く自力で脱出するに超したことはありません。非常用持ち出し袋は用意していたのに、ドアの向こうにあって取り出せないということも考えられます。
耐震ドアは、それを防ぐためのドアです。
あらかじめ隙間を作る。耐震ドアの仕組み
耐震ドアの仕組みは意外と簡単なもの。あらかじめ歪みを想定して、ドア枠とドアのサイズに余裕を持たせ、隙間が作ってあります。枠が歪んでもドアと干渉しなければ開閉できます。
また、耐震ドアには耐震蝶番が採用されています。耐震蝶番は、内部にスプリングが入っており、歪んだぶんを受け止める遊びを作ります。
耐震ドアのデメリット
上の図を見てもわかる通り、耐震ドアは「干渉しない程度の歪みまでは開閉を可能にする」というものです。これよりも大きな歪みが生じた場合には、耐震ドアでもやはり開閉はできなくなります。
絶対ではないという点を念頭においておくことが大切です。
高性能な断熱ドアと比べると、耐震ドアの断熱性や気密性は落ちるでしょう。断熱ドアは明確な性能データをメーカーが出していないので具体的な比較はできませんが、隙間がある構造上、これは想定できることです。
ただし、隙間があるといっても、上の図のようにあからさまな隙間があるわけではありません。実際には、ドアとドア枠に「かぶせ」部分があるので、見た目に大きな隙間があったり防犯上重大な問題があるわけではありません。
耐震ドアは、建物自体の耐震性は上げてくれない
耐震ドアのよくある誤解ですが、「ドア枠を堅牢なものにして歪まない枠にするドア」ではありません。建物全体の歪みを支えられるドア枠を作ろうとすると、非常に巨大な枠になってしまうでしょう。
耐震ドアはあくまでも閉じ込めを防ぐためのものなので、建物の耐震性は確保されていることが前提です。
もし所有するマンションの耐震性にご不安があるなら、まずすべきことは耐震補強工事です。耐震診断には助成金の交付が受けられます。まずは耐震診断をおすすめします。
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→「マンションの耐震工事費用はいくらかかるのか」http://taishinsekkei.com/info/price-taishin/
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