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工事が不可能と思われていたマンションの事例│株式会社耐震設計

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工事が不可能と思われていたマンションの耐震工事事例をレポート1(全4回)

更新日2022.10.07 カテゴリー オーナー様向けコラム

耐震化が難しいマンションの事例

東京都、青梅街道沿いにある上荻ダイヤモンドマンション様の耐震工事の事例をご紹介します。2022年4月着工。立地の問題があり工事が不可能と思われていた物件ですが、さまざまな工夫をこらして着工にこぎ着けることができました。現在工事中のリアルタイムレポートです。

築49年。緊急輸送路沿いのマンションの抱える問題

ご紹介するのはこちらの物件です。

物件名:上荻ダイヤモンドマンション
所在地:東京都杉並区上荻3-25-10
用途:分譲マンション(45戸)
建築年:1973年(昭和48年)築49年
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造、地上10階建て
上荻ダイヤモンドマンションの耐震補強工事の事例

上荻ダイヤモンドマンションは、青梅街道に面する8階建ての分譲マンション。エントランスのレンガ風タイルがレトロな雰囲気です。
築49年のため、旧耐震基準しか満たしていない可能性がありました。耐震診断を行ったところ、結果はIs値0.4程度。新耐震基準ではIs=0.6以上が必要です。
青梅街道は東京都の緊急輸送道路に指定されています。マンション住民の安全だけでなく、地域の安全のためにも耐震補強が求められました。

敷地面積が足りず、工事が不可能

柱の補強や開口部の閉塞など、あまり大がかりではない工事で済む例もありますが、こちらのマンションの場合はそれらの工法だけでは補強が足りません。建物南側(裏庭側)のブレース補強が必要でした。
上荻ダイヤモンドマンションの耐震工事補強プラン
しかし、ここで問題が。
建物の裏庭のスペースが狭く、ブレースの部材を釣り上げるための大きな重機を入れることができないのです。
耐震化が難しいマンションの工事の事例
裏庭は、わずか40平方メートルほど。大型重機を使うにはスペースが足りません。
裏庭に通じるのは、道路側から建物を突き抜ける通路のみ。まず、この通路に重機が通りません。
周辺には建物が密集しており、裏側からのアクセスも不可。

人の手で運べるアルミブレースを採用。補強設計を開始

一般的なブレースは鉄骨でできており、大変重いです。
搬入には大型の重機が必須なので、重機が入らないなら補強は断念するしかないと思われました。
しかし、時間をかけて様々な方法を検討し、アルミ合金製のブレースを用いる工法に辿り着きました。
アルミ合金製のブレースなら、重さは鉄骨製ブレースの1/3程度。
ひとつ30㎏から50㎏なので、大人二人で運ぶことができます。

鉄骨製に比べて高価というデメリットがありますが、強度的には問題ありません。
住民の方々からもこれで安心して住めると歓迎の声があがり、明るい雰囲気に。
大規模修繕との同時施工も決定しました。
補強設計には一年かけ、2022年2月に着工となりました。

2022年4月上旬、杭打ち工事

耐震補強工事の、杭打ち機搬入
この工事では建物側にブレースを取り付ける構造体を作るため、杭を要します。
写真の青い重機が、小型の杭打ち機です。
重機搬入時の左右の隙間はわずか2cm。
設計段階で、杭打ち機が通路を通ることは確認を取っていましたが、一同固唾をのんで見守りました。
耐震補強工事の杭打ち工事
先端がスクリューになっている杭を、杭打ち機で回転させながら地面に打ち込みます。
杭は、小型の杭打ち機でも使用できるよう短く小割にしたものを使用しています。
杭を打ち込んだら次々に連結させ、長さを出します。
事前のボーリング調査では、支持層(岩盤)までの長さは10メートルでした。
最初の1本は試験杭と言い、これが確かに支持層に到達し、強さが出ていることを確認します。

2022年4月中旬、基礎工事

耐震補強工事の根伐工事
基礎を作るため、小型のショベルカーで杭の周囲を掘り下げます。
本来は掘った後で杭打ちをしますが、今回は敷地が狭いため掘り下げてからだと杭打ち機を動かす場所がありません。そこで、平らな状態で杭を打って杭打ち機を引き上げてから、ショベルカーを入れました。
耐震補強工事の、杭頭処理
杭の余分な長さを切り、異形鉄筋を溶接。コンクリートとの密着性を高めます。

2022年5月下旬、基礎工事完了

9-100
新たな基礎と一体化させるため、建物の基礎にアンカーを打ち込みます。
アンカーは必ず引張試験を行い、必要強度が出ていることを確認します。
老朽化した建物では支持するコンクリート側の強度が落ちていることがありますが、毎回試験を行うことで品質が担保されます。

2022年5月下旬、基礎工事完了

耐震補強工事の基礎(フーチング)の様子
鉄筋を組み、コンクリートを流し込みます。
これで基礎が完成。

現在、建物側に補強部材を取り付けるための準備工事を行っています。

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第二回 あとアンカー施工、アルミブレースの取り付け

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