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工事が不可能と思われていたマンションの事例│株式会社耐震設計

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工事が不可能と思われていたマンションの耐震工事事例をレポート(第二回)

更新日2022.12.15 カテゴリー オーナー様向けコラム

マンションの耐震化。ブレース工事の様子

東京都、杉並区にある上荻ダイヤモンドマンション様の耐震工事レポート2回目。前回は、立地上の問題を克服する耐震工事方法の模索についてと、杭打ち工事までをご紹介しました。「あとアンカー施工」が終わり、製作していたアルミブレースが届きました。今回は、ブレース取り付けまでをご紹介します。

目次と工事の概要

第一回 耐震補強方法の選定と、杭打ち工事
第二回 あとアンカー施工、アルミブレースの取り付け
第三回 アルミブレース完成、その他の補強について
第四回 仕上げ工事、引き渡し(予定)

物件名:上荻ダイヤモンドマンション
所在地:東京都杉並区上荻3-25-10
用途:分譲マンション(45戸)
建築年:1973年(昭和48年)築49年
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造、地上10階建て

耐震診断の結果、最小のIs値が0.4となり耐震性不足が判明。建物南側の1〜8階にブレース補強、西側に開口閉塞補強を行うことになりました。
周囲を建物に囲まれているため工事が必要な裏庭に大型重機を入れることができず、一般的な鉄製ブレースは使えません。
そこで、軽量なアルミブレースを採用し、建物を貫通する通路を人の手で運び入れる方法を採用しました。

上荻ダイヤモンドマンションの耐震工事補強プラン

1~8階のコンクリート工事

建物南側にアルミブレースを取り付けるため、その部分に土台を作ります。
新たに加わる部材に建物が耐えるように補強する目的です。
図の位置にアンカーを打ち込み、コンクリートを流して固めます。
その際、ベランダの両サイドが干渉するため部分的に解体を行いました。
耐震工事のため、ベランダの一部を破壊する
解体した部分のアップがこちらです。角の部分をカットしています。
一時的に不安な見た目になりますが、あとで見た目にも強度的にも問題ないよう仕上がります。

耐震補強工事のため、ベランダの一部を解体

建物にアンカーを打ち込む

建物の表面をはつり、コンクリートを目荒らしします。
内部に入っている鉄筋は、超音波を使った非破壊検査機で位置を調べ、そこを避けるようにアンカーの穴を開けていきます。
耐震補強工事。ブレース補強
穴を開けた状態がこちらです。
アルミブレースによる耐震補強工事

等間隔にざっと穴を開けたように見えるかもしれませんが、内部の配筋はそこまで正確に並んでいません。
穴一つひとつの位置を図面に落とし込み、実際に穴を開ける際には正確無比な作業が求められます。
新築を作るよりも、既存建物を補強する方が、技術的には大変難しいのです。

アルミブレースの工場検査

アルミブレースは、福島県の工場で製作されました。
図面通りになっているか、仕上がりの品質などを現地に赴いて確認します。
福島県のアルミブレース工場。出荷前に検査する

配筋、コンクリート打設

配筋の後、杉並区の担当者の立ち会い検査を受けています。
図面通りの配筋数になっているか、溶接方法に不備がないかを細かくチェックしていただき、OKが出てから次の工程へ。
型を作成してコンクリートを流し込み、アンカーを打ち込みます。
耐震補強工事の様子。マンションにアルミブレースを付ける
アルミブレースの搬入

アルミブレースは、複数のパーツに分かれています。
今回の物件では、図のように両サイド、横、斜めのブレースの順に組み立てていきます。
2022年10月25日、製作したアルミブレースが届きました。
この日は、1~4階までの柱となる両サイドの設置を行いました。
耐震補強用のアルミブレースの取り付け方
トラックからクレーンで荷下ろしします。
このクレーンを現場付近でも使えれば、重いスチール製のブレースを使えたのですが、今回は現場に重機が入りません。
そのため、ここからは人の手で運びます。
アルミブレースの搬入。耐震補強工事レポート
耐荷重500㎏の台車に乗せ、3人で押します。建物を貫通する通路を通り、南側の裏庭へ。
傾斜のある地面でも、3人いればスムーズに運べました。
これができるのは、アルミブレースならでは。
今回使用しているアルミブレースの重さは最大でも370㎏。鉄製の約1/3です。
軽量なことは、建物への負担が少ないこともメリットです。
アルミ製の耐震ブレースは、人の手で運ぶことができる

いよいよ、アルミブレースの取り付け

建物の上階に設置したホイストクレーンとチェーンブロックで、アルミブレースを釣り上げます。
細かく調整しながら、建物側のアンカーと合わせていきます。
10 釣り上げる

アルミ製耐震ブレースの取り付け工事
ブレースのアンカーと建物側のアンカーは、干渉せずきれいに入れ違うようにできています。
非常にシビアに合わせているため、誤差は1mm以下。
12 ぶつからない
次回はアルミブレース工事の完成と、その他に行った補強工事についてをお届けします。
過去のレポートはこちらをどうぞ。

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第三回 アルミブレース完成、その他の補強について

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