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古いマンションは建て替えか改修工事か、どちらがよいのか

更新日2019.08.19 カテゴリー オーナー様向けコラム

古いマンションを、建て替えるべきか改修工事するべきか

築年数の古い分譲マンションに共通のお悩みは、老朽化。少ない持ち出しで建て替えを行って資産価値をアップするのが最も理想ですが、現実的にはそうはいかないケースが多いです。耐震性に不安のある旧耐震のマンションの場合、立て替えか改修かどちらがよいのでしょうか。

建て替えを選択しているマンションは、ごくわずか

実際にどれくらいのマンションが建て替えを行っているのかを見てみましょう。
下は、国土交通省が発表している「マンション建て替えの実施状況」というデータです。
これによると、平成30年度4月1日に建て替えを選択したマンションは全国に274件。平成16年から30年の間に累計で2,831件の建て替えが実施(予定を含む)されています。

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※国土交通省調査による建替え実績及び地方公共団体に対する建替えの相談等の件数を集計
※阪神・淡路大震災による被災マンションの建替え(計109件)は、マンション建替法による建替え(1件)を除き含まない
※過年度の実績は今回の調査により新たに判明した件数も含む
http://www.mlit.go.jp/common/001235972.pdf

全国にある分譲マンションのストックは644.1万戸(平成29年度。出典:国土交通省)で、そのうち昭和56年の建築基準法改正前に建てられた築40年以上のマンションは72.9万戸(平成29年度。出典:国土交通省)です。

図の建て替え実施件数は棟数で、ストック数は戸数のデータしかないので単純な比較はできません。取り壊すのみで建て替えていない例もあるでしょう。しかし、建て替えを実施しているマンションが非常に少ないことだけはおわかりいただけるのではないでしょうか。

ほとんどのマンションが、建て替えられない理由

日本の分譲マンションの場合、建て替え案が出たとしても住民の合意形成ができず延び延びになっている場合がほとんど。建て替えには住民の5分の4の合意が必要なので、立ち退きも追加の持ち出しも不可能な経済状況の住民が5分の1以上いれば、何年話し合っても解決はありません。

分譲マンションの老朽化が、いずれ大きな問題となることは当然予測されていました。しかし、建築ラッシュだった当時はマンション再生に関する法整備はなく、現在に至っても積極的に再生投資する環境は整っていません。老朽化したマンションを救う方法は、再生投資以外にはないのです。
再生投資とは、老朽化したマンションに改修工事や建て替えなどの投資をして資産価値を上げること。ただ建物が綺麗になるだけでは、出費を補うほどの効果はありません。そこで取られているのが、建て替え時に階数を足して戸数を増やすやり方です。
増えた部屋を販売して利益を建て替え費用に充てれば、持ち出しを減らすことができるという作戦です。
ただし、これができるのは容積率に余剰がある物件だけ。後述しますが、その逆のパターンもあり、どの物件にも使える手ではありません。

建て替えるなら、いくらかかる?

分譲マンションを建て替える際に必要な費用は、住民全員が捻出します。一戸あたりの負担額は、およそ1,400万円というのが通説です。
解体費用、建築費用自体は1,000万円程度と言われていますが、建築中に移転しなければならないことを考えると総額がそれくらいになるということです。
大規模なマンションですと建築に1年、2年かかります。家賃12万円の賃貸マンションに2年住めば家賃だけで288万円。二回の引っ越し費用も必要です。
ローンなしで一括購入している現役世代ならともかく、年金生活をしている高齢者世帯、現在もローンを支払っている世帯にとっては、とても負担できる金額ではありません。

戸数を増やすことができないマンションの例

再生投資で戸数を増やして販売利益を建築費に充てる方法が、使えないマンションもあります。以下の例です。

1. 戸数を増やす余裕がない
建築時に余裕をもって建てることはほとんどなく、多くの場合は建ぺい率いっぱい、容積率いっぱいで建てているためです。
建築基準法が改正され、そもそも既存不適格建物となっているマンションも多くあります。その場合は、建て替えを行うとむしろ容積率が減ってしまうケースもあります。敷地面積の狭い小規模マンションも、タワーマンション化は困難でしょう。

2. 不便な立地、不人気な立地
建築時と現在では、周辺環境が変わってしまっている例です。市街地のニュータウンが住民もろとも高齢化していく問題ともリンクしています。不動産価値が下落している不人気な立地の場合、新築マンションを建てても希望した価格で売れる保証がありません。もし物件が売れ残って建築費が出なかった場合に大きなトラブルとなります。

現実的な解決策

合意形成の最大のネックとなるのが共有部分の売却です。共有部分は区分所有権となり全員が権利者です。しかし、区分所有法には売却するための規定がありません。つまり、権利者全員の合意がないと売却できないのです。
マンション再生を推進するため、区分所有権を解消しやすくする法律が整えられている国もありますが、その点日本は遅れています。法整備を待っている間にもマンションは老朽化が進みますし、いつ大地震がくるかわかりません。
建て替えできないのであれば、解決策は改修のみ。耐震性に不安のあるマンションなら、一刻も早く耐震改修へと舵を切るのが安心への近道です。
マンションの耐震改修にかかる「総事業費」は、大半が1,000万円以下(東京都「マンション実態調査2013年」)です。一戸あたりの持ち出しは約半分が100万円以下(一般社団法人マンション再生協会)。非常に現実的な数字ではないでしょうか。
耐震診断を受けると、概ねの耐震改修見積もりも出ます。まずは耐震診断がおすすめです。

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