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代表からのご挨拶 〜私たちの想い〜

構造設計という仕事の、立ち位置の疑問

私は幼稚園で大工になると決めました。設計事務所に勤め一級建築士になり、バブル経済全盛時には多くの新築の構造設計に携わりました。構造設計とは、意匠担当から計画図をもらい、その構造の安全を数値で証明するために、柱や梁の大きさを計算して図面を書く仕事です。しかし、自分の仕事に疑問も持っていました。

構造設計者は、オーナーと一度も打ち合わせをせずに設計します。さらには、自分で設計した建物の竣工を見ません。だから、オーナーの意向やできたものの評価を聞く機会がないのです。このようなワンマンな立ち位置で良いのかと悩んでいたおり、平成7年の阪神・淡路大地震によって6,000名以上の尊い命が奪われました。そのうち86.6%はご自宅で亡くなっています。原因は建物の倒壊によるものでした。倒壊した建物は、昭和56年の耐震規準を満たさない古い木造住宅、欠陥リフォーム住宅が多かったことが建設省(当時)によって報告されています。

建てたあとの建物を、ケアするプロとして

耐震性に関する法律は改定されますが、施行以前に作った建物には適用されません。オーナーの不安は増すばかりです。築年数の経過、用途の変更や増築を行った際の耐震性についても、不安を相談する場所がありませんでした。当時は建築士の国家資格試験ですら、新築設計の知識しか問われませんでした。毎日増え続けるストック(建物)に対し、構造設計者としてケアマネージメントをする人がいなかったのです。

古くなったストックの耐震問題の対応は急務です。ところが、既存建物への耐震化は新築の設計業務とは入口と出口位の考え方の違いがあるため、一人の構造設計者がこなすのは困難でした。そこで私は、自分がそれに応える専門家であろうと決めました。

不要な悲しみを減らしたい。20年変わらぬ思い

「ストック(既存建物)の専門の構造設計士」という立ち位置で構造設計事務所を立ち上げたのは、阪神・淡路大震災の翌年、平成8年のことでした。以来20年に渡り、構造の事について相談できる、敷居の無いコンビニのような距離感をモットーに取り組んでいます。

建物が古いからといって、地震に対しておびえる必要はありません。まずは耐震診断(建物の健康診断)を行い、病気があるのかないのか、どこが病気なのかを理解して、適切に治療(補強)することが大切なのです。今後建築基準法が変わらなければ、耐震診断は1度だけでかまいません。

関東圏での大地震を想定し、私たちは日々何ができるかを考えています。また、家余りに伴うリフォームと耐震補強の増加にも、たくさんの方の期待に応えを出し提案してまいります。これからも今まで以上に話せる身近な建築士として邁進していきます。

こんな方は一度ご相談ください・昭和56年以前の建物を所有している・1階部分が全て駐車場になっている・耐震診断で助成金・補助金が出るのか分からない・建物の図面がない