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ピロティ構造の耐震補強工事の方法「柱巻き」

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ピロティ構造の耐震補強工事方法「柱巻き」を解説

更新日2017.12.25 カテゴリー 耐震補強工事について

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耐震補強工事の方法1 「柱巻き補強」

耐震補強工事には、建物の構造、現在の耐震性能、工事後の美観や利便性をどこまで保つかといった判断によって、様々な方法がございます。ここでは、柱の補強に使われる「柱巻き」の耐震補強工事についてご説明します。

柱巻き補強は、柱に補強材料を巻き付ける工事です

柱巻き補強とは、既存の鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の柱の耐震性を向上させるための工事です。表面を覆っている装飾タイルや仕上げモルタルを剥がした後、柱に補強材料を巻いていきます。建物の耐震性を上げる目的なのか、ピロティ補強が目的なのか、今後メンテナンス方法など、色々な観点から考慮して、補強材料を選定します。材料には、鉄板、炭素繊維、コンクリートなどが使われます。近年では、ポリエステル製のベルトを包帯のように巻くという方法もあります。

耐震性がそれほど低くない建物、マンションのピロティに多く採用されます

柱巻きは、耐震性が少し低い程度の建物で、壁を作ることができない場所のときは有効です。または、マンション一階が駐車場になっているピロティ構造の柱によく使われます。阪神淡路大震災、熊本地震の際、倒壊した建物の中にピロティ構造のものが複数ありました。

地震による柱の破壊のされ方には種類があります。柱に横方向から大きな力がかかり、柱に粘り(靱性)がないために潰れてしまう破壊。1本の柱に大きな建物重量が乗っかり、パンクしてしまう破壊。このように想定される破壊モードによって柱巻き補強の工法も変わります。地震によって建物が歪んで潰されても、柱が破壊されなければ空間を支え、人命を守ることができます。柱巻きは、そのための工事です。耐震性に大きな問題がある場合には、より耐震性能の高い耐震壁の増設や、開口部を閉塞させて壁にするなどの工事を行います。

現地調査で実際の鉄骨の大きさ、鉄筋の数を出す

耐震診断では、現地調査を行って実際の鉄骨の大きさや鉄筋の数を調べていきます。建築時の図面も元にしますが、図面通りに建築されていないケースも多いので、現地調査は必須です。

現地調査では、表面を覆うコンクリートを剥がして内部を見る破壊調査と、RCレーダーによる非破壊調査の両方を行います。

RCレーダーは、コンクリート内部にある鉄筋の有無や本数を調べる道具です。小さい車がついており、コンクリートの表面を転がすように動かしながら電磁波を照射します。その反射を受信することで対象物の有無を画像として表示します。これによりコンクリートを壊さずに鉄筋の数を知ることができます。破壊調査も行うのは、RCレーダーでは鉄筋の太さや鉄骨の厚みまではわからないためです。非破壊調査は、部分的に行います。鉄筋調査に用いるRCレーダー      
  非破壊検査で使用されるRCレーダー

ピロティの柱によく行われる柱巻きの例

私たちが推奨するピロティの柱の補強は、コンクリート巻き補強です。
これは、今のコンクリート柱の周りに新しい鉄筋入れ、コンクリートを打設します。特に
多くのフープ筋(帯筋)と呼ばれる鉄筋を足すことで強度を高めることのできる補強方法なのです。

ビルやマンションの場合は、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が多いのですが、昔の建物の場合、縦の鉄筋はしっかり入っていても、横の鉄筋であるフープ筋が少ないという特徴があります。フープ筋は、桶の周囲にあるタガのような役割の鉄筋です。地震で建物が揺れた際、縦の鉄筋が横に膨らもうとするのを抑えるための鉄筋です。これが少ないと鉄筋が歪んで重さを支えきれなくなり、圧縮破壊が起こるのです。

剪断破壊が想定される柱に対しては(橋など)フープ筋ではなく、炭素繊維(カーボンファイバー)や鉄板を使った柱巻きが行われます。

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    横に張っているのがフープ筋(帯筋)

こちらが工事前の状態。白い部分はモルタルです。

フープ筋を足す柱巻きの場合、表面の装飾タイルやモルタル、を剥がしていったん柱の素面ををむき出しにします。
その後に、縦筋(主筋)とフープ筋(帯筋)を組み立てていきます。

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周囲に型枠を組んだところです。

コンクリートを流し込みます。
表面の装飾を直したら完成。

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柱巻きより、耐震壁にした方がよいのか

実は、柱巻き補強に比べ、耐震壁の方が断然強度は強くなります。
であれば、耐震壁の方が安心でよいのでは?と思われるかもしれませんね。しかし、必ずしも耐震壁が最上の選択とは言えません。
壁を作ることで出入り口の場所、人や車の導線が変わってしまうと、駐車場に誘導係を置かなければならなくなるかもしれません。
自然な通気が損なわれて、換気システムを入れなければならないかもしれません。
工事費用だけではなく、思わぬ不便や出費が出る可能性があります。

工事費用、工事期間中の住民への負担、今後の利便性に影響がないかなど、総合的に判断するのがよいでしょう。
柱巻き補強でも十分な耐震性が得られるかどうか、プロが判断いたしますのでご安心ください。

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