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地域係数とは?耐震基準はどうあるべきか

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その耐震基準で大丈夫か。地域係数とは何か

更新日2018.02.05 カテゴリー その他

2016年4月の熊本地震で話題になった「地域係数」。耐震基準が全国一律ではないと知って驚いた方も多いのではないでしょうか。なぜ地域係数が設けられているのか、耐震基準は地域係数に基づいたものでよいのか考えてみましょう。

地域係数とは?

建築基準法では、建物の耐震能力を保証する耐震基準が設けられていることはご存じのことでしょう。
この基準は、地域ごとの地震リスクに応じて補正係数をかけ、設計震度よりも割り引いてもよいことになっています。
この補正係数が、地域係数です。
地域係数は1.0、0.9、0.8、0.7の4種類あります。地震の頻度が高い地域を1.0とし、それと比較して頻度の低い順に3地域に分けています。
図は、各地域ごとの地域係数です。

耐震基準に地域係数をかけるとどうなるか

新耐震基準は、1981年(昭和56年)の法改正で作られた基準が最新です。
それによると「震度6強から7の地震では倒壊をしない建物であること」とされています。
この基準をもとに決められたのが耐震指標であり、その判定基準をIs値と呼び、Is≧0.6であることとなります。そのIs値に地域係数を掛けたものが、その地域の耐震指標となるのです。
熊本県上益城郡の場合は地域係数が0.9なので、0.6×0.9=0.54 Is≧0.54が判定基準となります。
地域係数を掛けた耐震基準ギリギリの建物は、本当に「震度6強から7の地震で倒壊をしない建物である」と言えるのでしょうか?
例えば、熊本で耐震基準ギリギリで建てた2つの全く同じ建物を1つ東京に持ってくることができたと仮定します。熊本と東京で同時に震度7の地震が来たとしたら、東京の建物は耐震基準を満たしていないため倒壊をし、熊本の建物は耐震基準を満たしているので倒壊をしないと言えるのでしょうか?
疑問が残りますよね。
しかし、地域係数はすべての建物において「割り引いてもよい」ということではなく、割り引いても良い建物があるということなのです。
つまり、割り引かない建物があり、木造や二階建て以下または延べ床面積200平方メートル未満の建物については、地域係数が考慮されず、日本全国で同じ基準の建物となります。
また最低基準を満たしさえすれば、それ以上の基準で建てることは施主の自由なのですが、昔は、工事費用を抑えるために、最低基準ギリギリで建てる事が多く、説明をされない方が多かったのです。

地域係数が低い地域は、本当に地震の可能性は低いのか

地域係数は、過去に起こった地震のデータを元に作成されています。
地震調査研究推進本部事務局が毎年発表している「全国地震予測地図」を見てみましょう。
これは2017年度版の地震予測地図(確率の分布図)です。今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を表しています。
0.1%、3%、6%、26%、100%の分類は、震度6弱以上の地震が大まかに次のような確率で起こり得ることを示しています。
0.1%…約30,000年に一回
3%…約1,000年に一回
6%…約500年に一回
26%…約100年に一回

地域係数の日本地図と比べ、一見大きな違いはないように見えます。
しかし、よく見ると新潟県の一部、長崎県や熊本県の一部など、地震予測地図で赤い部分(確率26%)が、地域係数0.9、0.8の地域に入っていることがわかります。
また、沖縄県も確率26%の地域ですが、地域係数は0.7と飛び抜けて低く設定されており、やや不自然なことがわかります。

地域係数はあてにならない!?

地震調査研究推進本部事務局のマップと地域係数のマップに違いがある理由の一つが、更新頻度です。
地震調査研究推進本部事務局は、阪神淡路大震災を契機に作られた文科省の研究課です。
予測マップは2014年に作成され、毎年見直しが行われています。
対して、地域係数が作られたのは1952年(昭和27年)。
東大地震研究所の河角広博士が、過去日本列島に起こった地震の記録を収集し、今後も同じ頻度で地震が起こると仮定して「河角マップ」を作成しました。地域係数はそのマップに基づいて作られ、1952年に告示されました。
地震学は50年代以降も60年以上進歩を続けています。当然見直しはすべきでしょう。
しかし、地域係数が見直されたのは昭和53年のみ。ザックリすぎた区分けが多少細かに修正されましたが、その後の大きな変更は行われていないのです。

熊本地震の建物被害は地域係数のせいなのか

上で熊本県上益城町を例に出したのは、2016年4月の熊本地震の震源地と思われる場所だからです。
熊本地震では、住宅の全壊が8,672棟、半壊が34,514棟、一部損壊が161,923棟と、建物に甚大な被害が出たことが特徴です。
震災後、熊本県の被災地域の地域係数が0.8か0.9であったことから、地域係数を問題視する報道がされました。
熊本の被害は、地域係数が原因だったのでしょうか?
これを受けて、一般社団法人土地総合研究所が、熊本地震での被害と地域係数の因果関係を調査しています。
結果、被害を受けた建物の多くは木造の小規模住宅で、地域係数を用いずに設計されていることがわかりました。
また、新耐震基準で建てられたにも関わらず被害を受けた鉄骨造は隣の建物の倒壊の影響を受けたり、
溶接が不十分だったなどの要因が見つかりました。
つまり、熊本地震の建物被害と地域係数には、直接的な因果関係は確認されていないというのが本当のところです。

○一般社団法人土地総合研究所「地震地域係数について」2016年11月1日
http://www.lij.jp/news/research_memo/20161101_13.pdf

今後の、地域経数に対する考え方

熊本地震では、震度7の地震が2回、震度6強の地震が2回、震度6弱の地震が3回と、震度6以上の地震が二日間で7回発生しています。
熊本地震の建物被害と地域係数に因果関係が確認されなかったとは言っても、地域係数が低い地域でもこれだけの揺れが起こったという事実は、長期的には地域係数自体を見直さなければならないということの証左と言えるでしょう。
残念ながら、日本列島には地震に対して絶対安全な地域はありません。
地域係数0.7とされている沖縄でも、「全国地震予測地図」によれば地震の発生確率は本州の赤い地域と同じですし、確率が多少低いとしても、すべての地域で震度6以上の地震が起きる可能性があるのです。

静岡県が地域経数1.2を義務化

2017年10月1日、静岡県は地域係数を1.2に割り増しする耐震基準を、条例で義務化しました。
「次に必ず来る大地震」と言われる、南海トラフ地震に備えてのことです。
南海トラフ地震は、最大M9.1と予測される巨大地震(東日本大震災ではM9.0で日本の観測史上最大)です。
南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は70~80%と言われており、国が想定する最大死者数は32万人。
そのうち10万9,000人が静岡県内で発生すると考えられています。
静岡県の地域係数は1.0ですが、静岡県はそれに依らず独自の路線で県民の命を守ろうとしているのです。県の試算では、地域係数を1.2にすることで、国の想定する数字より死者を6割減らせるということです。
耐震指標Is値で表すと、『地域係数1.0 Is=0.6』ですので地域係数1.2では、Is=0.72となります。
ちなみに一般的な学校は、Is=0.7が目標値となり、災害時の避難施設となる学校等は、Is=0.75(1.25倍)、消防署・警察署など救護するための施設は、Is=0.9(1.5倍)となっています。

すでにある建物も、耐震補強で強くなります

マンションデベロッパー、住宅メーカーなどでも、「耐震基準1.25倍」「耐震基準1.5倍」と高い耐震性能を謳う会社が増えてきています。
熊本地震の影響もあり、国が定める耐震基準以上を求める声が増えているからです。
耐震性能を上げることは資産価値を高め、集合住宅の空室を防ぐ効果が見込まれます。
この流れは今後ますます加速するでしょう。
すでにある建物の場合でも、耐震診断を受けて耐震補強をすることは可能です。
旧耐震の建物も新耐震の建物も、耐震性能にご不安がある方は一度耐震診断を受けることをおすすめします。

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